

1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を、1971年には世界初のカップめん「カップヌードル」を発明。『魔法のラーメン』『究極の加工食品』と評され、お湯さえあれば、いつでもどこでも食べられるインスタントラーメンは、日本はもとより、世界の食文化に革命を起こしました。
一方で、インスタントラーメンの製法特許を独占することなく、広く使用を許諾したほか、1964年には「日本ラーメン工業協会 (現・社団法人日本即席食品工業協会)」を設立するなど、業界の発展と取りまとめにも貢献。『企業は野中の一本杉であるより、森として発展する ほうがいい』と口にしていた通り、自らの利益のみを顧みることのない姿勢が、日本で生まれたインスタントラーメンを、世界的な産業にまで拡大させました。
また、晩年になっても商品開発への意欲は衰えず、『宇宙食を開発したい』という夢の実現にむけて、開発の陣頭指揮をとったのは94歳のこと。完成した宇宙食ラーメン「スペース・ラム」は、安藤の食に掛ける思いとともに、地球という枠を超えて宇宙にまで飛び出していきました。
2007年1月、96歳10ヵ月で生涯を閉じた安藤百福。その死は速報となって世界中を駆け抜け、ニューヨークタイムズには「Mr.Noodleに感謝」という社説が掲載されました。
“インスタントラーメンはお湯さえあれば神の恩恵を受けられる。 安藤は人類の進歩の殿堂に永遠の居場所を占めた。 人に魚を釣る方法を教えればその人は一生食べていけるが、 人にインスタントラーメンを与えれば、もう何も教える必要はない。”
安藤百福は『食の仕事は、世の中に幸福を生む「聖職」である。』という言葉をはじめ、「食が足りてこそ世の中が平和になる」という意味を表した『食足世平 (しょくそくせへい)』、「美しく健康な身体は賢い食生活から」という意味を表した『美健賢食 (びけんけんしょく)』、「世の中のために食を創造する」という意味を表した『食創為世 (しょくそういせい)』という言葉を残すなど、その人生すべてを“食”に捧げた人物でした。


主な著書に「日本の味探訪・食足世平」「麺ロードを行く」(以上、講談社)、「苦境からの脱出」(フーディアム・ コミュニケーション)、「魔法のラーメン発明物語−私の履歴書」(日本経済新聞社)、「インスタントラーメン発明王 安藤百福かく語りき」「100歳を元気に生きる−安藤百福の賢食紀行」(以上、中央公論新社)などがある。